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WESTERN MUSIC ON SHINOBUE

亡き王女のためのパヴァーヌPavane pour une infante défunte

Maurice Ravel(1875–1937) モーリス・ラヴェル
Pavane pour une infante défunte / 亡き王女のためのパヴァーヌ

亡き王女のためのパヴァーヌの絵
ディエゴ・ベラスケス『ラス・メニーナス(女官たち)』1656年
作曲
1899年(ピアノ曲。1900年に出版)。1910年に作曲者自身が管弦楽に編曲
原曲の編成
ピアノ独奏
調・拍子
ト長調・4分の4拍子(ところどころ4分の2拍子)・Assez doux, mais d'une sonorité large(とてもやわらかく、しかし豊かな響きで)
この楽譜
笛の旋律は、フルート奏者ルイ・フルーリが編曲したフルートとピアノ版(Demets 1909、パブリックドメイン)のフルート・パートから入力。伴奏は、ピアノ原曲(Xinhao Zheng 浄書、CC BY-SA 4.0)の和音をもとに、笛の伴奏用に作った

楽譜

三本調子(古典調)の笛の運指で書いています。原曲と同じト長調で、1オクターブ上を吹きます。とても高くなる句(30〜36小節と62〜68小節)だけは、句ごと1オクターブ下で吹きます(楽譜の↓の印)。高いラ(13・20・47小節など)は大甲になります。×の運指は61か所です。小さな数字は、伴奏に合わせるときのメリ・カリの目安です(実測した三本調子の値。笛によって前後します)。ピアノやギターの伴奏は、原曲のままの高さ(A=440Hz)で、そのまま合わせられます。

楽譜 1ページ目楽譜 2ページ目
⎙笛の楽譜(PDF)A4・2ページ ⎙ピアノ伴奏付きの楽譜(PDF)A4・5ページ ⎙ギター伴奏付きの楽譜(PDF)A4・5ページ ⎙標準の運指(一=ド、八本調子前後)の楽譜(PDF)A4・2ページ ⎙曲目解説(PDF)印刷して、楽譜に添えて
運指の読み方
一 二 三 … 七
呂音(りょおん。低い音)
1 2 3 … 7
甲音(こうおん。一段高い音)。呂と同じ指で、息を強めます
点の付いた 2・3、8
大甲(だいかん。さらに高い音)。8 は大甲のド
数字の右上の ×
半音下げる指づかい(穴の一部を塞ぐ)。塞ぐ量は運指表をご覧ください
赤い ↑ ↓
その音だけ1オクターブ上げて/下げて吹く(笛の音域に収まらない音)
筒
筒音(すべての穴を塞ぐ)

お稽古用の音源

伴奏に合わせて吹くための、コンピュータで鳴らした音源です。「笛の旋律入り」で旋律を覚え、「伴奏だけ」で合わせて吹いてみてください。高さは A=440Hz で、このページの楽譜と同じ調です。三本調子の笛なら、楽譜の運指で、音源に合わせてそのまま吹けます(音源の笛の旋律は、1オクターブ下で鳴っています)。楽譜の繰り返しも、そのとおりに演奏しています。

音源
笛の旋律
速さ
合う笛三本調子(古典調)一 がおよそソの笛
この音源を保存(MP3)

音源は、MuseScore Studio の音色(Muse Sounds)で、楽譜から作りました。藤舎名玄の演奏ではありません。

作曲者

モーリス・ラヴェルは、スペインに近いフランス南西部の町シブールに生まれました。母はバスク系で、ラヴェルは生涯スペインの音楽に親しみを持ち続けました。パリ音楽院で学び、作曲をフォーレに習っています。

時計職人のように精巧な作曲家と呼ばれ、『ボレロ』『水の戯れ』『ダフニスとクロエ』『クープランの墓』などで知られます。管弦楽の色彩の扱いがすばらしく、自分のピアノ曲を管弦楽に編曲した作品も多くあります。

曲の成り立ち

1899年、パリ音楽院でフォーレに学んでいた24歳のころに書かれたピアノ曲です。パトロンのポリニャック公妃に献呈されました。1902年、ピアニストのリカルド・ビニェスが初演し、やがて広く愛されるようになりました。

題の「亡き王女」は、特定の王女を悼むものではありません。ラヴェルは、題は言葉の響きが好きでつけたもので曲の内容とは関係がない、と語っています。一方で、この曲を「昔スペインの宮廷で、小さな王女が踊ったかもしれないパヴァーヌを思い起こさせるもの」とも説明しています。ベラスケスが描いた王女の姿を思い浮かべた、ともよくいわれます。

1910年には自らの手で管弦楽に編曲し、旋律をホルンに歌わせました。笛の楽譜は、同じころ(1909年)に出版された、フルート奏者ルイ・フルーリによるフルートとピアノの編曲から取りました。

曲調と聴きどころ

パヴァーヌは、16〜17世紀のヨーロッパの宮廷で踊られた、ゆっくりした行列の舞曲です。この曲も、一歩一歩踏みしめるような、静かで気品のある歩みで進みます。

曲は、はじめの旋律(A)が、間に別の旋律(B・C)をはさみながら3回現れる形で書かれています。Aが戻るたびに、伴奏の書き方が少しずつ豊かになっていきます。中間の部分(C)では、フラットの多い遠い調へ移り、旋律が音を重ねるように何度もくり返されて、「とても重々しく(Très grave)」と書かれた所で深く沈みます。

ラヴェル自身は、とてもゆっくり弾くことを望んでいたといわれます。笛でも急がず、長い音を大切にのばして、気品のある歩みを保ってください。

曲の流れ

小節の番号は、このページの楽譜の小節番号です。

小節内容
1〜12A:はじめの旋律。ソから始まり、ゆっくり下りて、また上がる。6・33・65小節の cédez(ゆるめて)で一息つく
13〜27B:「とても遠くから(Très lointain)」。高い音の静かな旋律を、和音が8分音符でやさしく支える。26・27小節は少し遅く、フェルマータで止まる
28〜39A:はじめの旋律が1オクターブ上で戻る。伴奏は分散和音になり、響きが広がる。38小節の「Large(幅広く)」で山を作る
40〜59C:中間部。調が遠くへ移り、同じ音を重ねるように旋律がくり返される。49・59小節の「Très grave(とても重々しく)」で深く沈む
60〜72A:はじめの旋律が三たび戻る。伴奏は細かい分散和音になり、終わりは「En élargissant beaucoup(大きく幅を広げて)」堂々と閉じる

笛の旋律は、フルート奏者ルイ・フルーリが編曲したフルートとピアノ版(Demets 1909、パブリックドメイン)のフルート・パートから入力。伴奏は、ピアノ原曲(Xinhao Zheng 浄書、CC BY-SA 4.0)の和音をもとに、笛の伴奏用に作った